亜硝酸ナトリウム(亜硝酸Na)
もくじ
亜硝酸ナトリウム (亜硝酸Na)とは
英名:Sodium nitrite
化学式:NaNO2
- 発色剤として使用される添加物です。
食品添加物として、ハムやソーセージに広く使用されています。
発色剤を使うことでハムが鮮やかなピンク色になります。
発色剤を使わないハムやウインナーの製法を「無塩せき」と言います。
塩せきとは
ハムやソーセージを作るときの工程のひとつで、
食塩、発色剤、糖類、香辛料等とともに肉を漬け込むことを指します。
これに対し、発色剤を使用しないで漬け込む方法を「無塩せき」と言います。発色剤の効果
(1)原料肉の赤い色素を固定してきれいな色に保つ
(2)原料肉のもつ獣臭さを消し、
ハム・ソーセージ特有のフレーバー(風味)を与える
(3)ボツリヌス菌の増殖を抑える
引用:日本生活協同組合連合会
亜硝酸ナトリウムの毒性
犬や猫が亜硝酸ナトリウムを多量に含むペットフードを食べると、メトヘモグロビン血症を引き起こす。
メトヘモグロビン血症とは
血液中に酸素運搬能力のないメトヘモグロビ ンが通常(1~2%)以上に増加した状態で、メトヘモグロビンが15~ 20%以上になると、血液中の酸素が欠乏し、皮膚・粘膜が暗紫青色 (チアノーゼ)を呈する。
亜硝酸ナトリウムが含まれているペットフードの例
亜硝酸ナトリウムが使用されている市販の猫用の製品を調べてみました。
(2015年12月・楽天市場)
- ウェットフード(水分80%以上)
缶詰、パウチ、トレーに入った水分を多く含む1回~2回で使い切るタイプのフード - おやつ
ジャーキー、スライス・花かつお状になった鶏のササミやすなぎも。おやつやフードのトッピングとして使用。 - セミモイストフード(水分30%以下)
ドライフードとウェットフードの中間
- 水分10%以下のドライフードに使われる商品は見つかりませんでした。
原材料の表記は「発色剤(亜硝酸Na)」となっています。
【ペットフード安全法】亜硝酸ナトリウムの基準値
亜硝酸ナトリウムがペットフード安全法の規格基準に追加されたのは、2015年(平成27年2月20日)からです。
【亜硝酸ナトリウムの残留基準値】
100μg/g
=100mg/kg
=100g/t
※100μg=0.1mg
基準値の単位が文書によって様々なのですべて記載
【出典】
環境省自然環境局 総務課 動物愛護管理室 (ペットフード安全法>基準規格等)
愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令(平成二十一年四月二十八日農林水産省・環境省令第一号)
【ペットフード安全法】亜硝酸ナトリウムの1日あたりの摂取量モデル
犬や猫の1日当たりの給与量から亜硝酸ナトリウムの摂取量を算出。
ペットフード安全法の亜硝酸ナトリウムの基準値
100mg/Kg以下(製品に残存する亜硝酸ナトリウムの上限)
犬猫の1日当たり摂取許容濃度
16mg/kg(bodyweight/day)
※「猫における毒性試験の論文」(Tarrら1942)より算出
犬猫の1日当たり給与量モデル
- 犬:体重 5 kg、給与量 120 g
- 猫:体重 4 kg、給与量 80 g
毒性データから求めた許容量
- 犬:15%
- 猫:13%
計算式
- 摂取量=基準値×給与量
- 毒性データから求めた許容量=1日摂取許容量×体重
【犬】
(基準値100mg/kg×給与量120g)÷(1日許容摂取量16mg/kg・body weight/day ×体重5kg)=0.15→15%
【猫】
(基準値100mg/kg×給与量80g)÷(1日許容摂取量16mg/kg・body weight/day ×体重4kg)=0.125→13%
【出典】
農業資材審議会飼料分科会及び中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会合同会合(第5回) 議事録(環境省)
農業資材審議会飼料分科会及び中央環境審議会動物愛護部会ペットフード小委員会合同会合(第5回) 議事録(農林水産省)
愛玩動物用飼料の成分規格の追加(平成26年3月3日 環境省・農林水産省)
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【食品衛生法】亜硝酸ナトリウムの基準値
ハムやソーセージの発色剤として使用されている亜硝酸ナトリウムは、
食品衛生法によって基準値が定められています。
【食品衛生法の亜硝酸ナトリウムの基準値】
食肉製品・鯨肉ベーコン 0.070g/kg=70mg/kg
魚肉ソーセージ・魚肉ハム 0.050g/kg=50mg/kg
※亜硝酸根としての最大残存量
各添加物の使用基準及び保存基準 (平成27年9月18日改正まで)
(厚生省告示第370号 食品、添加物等の規格基準より)
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【食品衛生法】亜硝酸ナトリウムの一日許容摂取量(ADI)
食品衛生法では、亜硝酸ナトリウムの一日あたりの摂取量が以下のように定められています。
0 ~ 0.07(mg/kg bw/day) ※JECFA(2003)の評価
【出典】食品安全に関するリスクプロファイルシート(検討会用) 農林水産省(2012)
参考 一日許容摂取量(ADI)