メラミン(melamine)

メラミン

メラミン(英名:melamine・化学式:C3H6N6)

メラミンは、プラスチック製品などに使用されている合成樹脂です。

2007年、中国で製造された「小麦たんぱく」がメラミンに汚染されていた為、それを原料に製造されたペットフードを食べた多くの犬や猫が腎不全で死亡するという大規模な事故が起きました。

メラミンで汚染された小麦たんぱくは、米国を中心に、ヨーロッパ、南アフリカなど、世界各地に輸出されていた為、その影響は世界中に及び、この事故がきっかけとなり、日本では「ペットフード安全法」が制定されました。

メラミンは製品の安定性を保つために添加される「添加物」ではありません。食品衛生法と同様にペットフード安全法でも「添加物」ではなく、混入を防止すべき「有害物質」とされています。

中国では、2008年にもメラミンが混入した粉ミルクが原因で乳幼児が腎結石を発症するという事故が起きています。

 

メラミンとは

プラスチック原料、接着剤、調理台、食器類、ホワイトボード、肥料などに広く使用されている化学物質のひとつです。

牛乳・乳製品への混入が問題になりましたが、日本はもちろん、国際的にも食品に添加することは認められていません。

出典:日本生協連

 

メラミンは、メラミン樹脂(メラミンとホルムアルデヒドを主体として縮合した合成樹脂)の原料として使用されている。
その他、ラミネート、接着剤、成形材、被覆材、難燃剤などの幅広い工業用途に用いられている。

メラミンは殺虫剤であるシロマジンの代謝から生成することが知られているほか、海外では肥料にも用いられている
(日本国内では、肥料として登録されたことはない)。

食品と接する食器や容器等の原料としても使用されていることなどから、不正に混入されていなくても、食品から微量のメラミンが検出される場合がある(2008 年 WHO1)) 。

出典:メラミン等による健康影響について(内閣府 食品安全委員会)

 

メラミンの毒性

メラミンの毒性について、内閣府・食品安全委員会の資料からまとめました。

  • 【尿・血液への排出・半減期】
    メラミン単体では、24時間で90%は尿中に排出される。
    (血漿からの消失半減期)2.7 時間
    (尿排泄の半減期)3時間
  • 【急性毒性】
    メラミン単体での急性毒性は低い。
    メラミンとシアヌル酸を同時摂取すると、急性腎障害を引き起こす可能性が示唆されている。
  • 【毒性影響】
    ・膀胱結石
    ・膀胱粘膜上皮の炎症反応及び過形成
    ・メラミンの結晶尿(イヌ:2001年)
    ・血尿(ラット:2000年)
  • 【慢性毒性・発がん性】
    ・膀胱腫瘍(雄ラット:1983年)※(225 mg/kg 体重/日に相当)
  • 【人への影響】
    (2008 年の中国における乳幼児用調製乳の事案)
    ・メラミンの暴露量(推定):1 日当たり 8.6-23.4mg/kg 体重
    ・乳幼児用調製乳からのシアヌル酸等の検出量:メラミンの 0.1%
  • (WHOの見解)
    ・メラミン単独であっても、摂取量が多ければ、結石が生じる可能性がある。

 

シアヌル酸との複合的な影響

・メラミンとシアヌル酸(尿素から製造される有機化合物)が結合すると、メラミンシアヌレートに変化する。
 メラミンとシアヌル酸を同時に摂取することにより、腎毒性を起こすとされている。

・2007年に発生した汚染ペットフードの大規模な事故が発生。
 汚染ペットフードを摂取した動物の腎臓から、メラミンシアヌレートが検出された。

・メラミンシアヌレートは溶解度が低い為、腎臓内で結晶が形成されると考えられている。

参考資料:メラミン等による健康影響について(内閣府 食品安全委員会)

参考シアヌル酸

 

なぜメラミンが腎障害を引き起こすのか?

京都産業大学 総合生命科学部 動物生命医科学科 村田英雄 教授が、2007年に発生したメラミンによるペットの大量死について、そのメカニズムを解説している記事をまとめました。

  1. 「メラミン」と「シアヌル酸」が結びつく。
  2. 「メラミンシアヌレート」という物質に変化。
  3. 「メラミンシアヌレート」は水に溶けない性質を持っている。
  4. 「メラミンシアヌレート」が尿管で詰まって尿管結石の原因になる。
  5. 「メラミンシアヌレート」は写真 1の左の写真の体内では“粒状 ”になる。
  6.  粒状になったメラミンシアヌレートが徐々に沈着⇒集まって結石となる。
  7. 結石が尿管に詰まって尿が正常に排泄されなくなる。
  8. 腎炎となり、最悪の場合には死に至る。

 

(メラミンとシアヌル酸を同時摂取する可能性)

  1. 「シアヌル酸」:メラミンを精製する際に発生する関連物質
  2. 「メラミン」の純度が高ければ、「シアヌル酸」はほとんど含まれない
  3. 純度の低い劣悪なメラミンを混入⇒腎障害を引き起こす

参考資料:京都産業大学サイエンス&テクノロジーVol.15(“メラミン”によるペット大量死 ― そのメカニズムの解明)

 

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メラミンの基準値

メラミンの基準値は、国内と海外、制定した機関によって差異がある。
(採用された毒性データの違い、シアヌル酸と同時摂取した場合に急性毒性が見られるため)

残留基準

メラミンの残留基準について、環境省・農水省の資料からまとめました。

  • 【国内】農水省・環境省
    ・ペットフード:2.5 mg/kg(10%水分換算)(平成26年制定)
    ※Codex基準、EU基準をもとに設定

    ・家畜用飼料:2.5mg/kg(24年4月制定)

  • 【海外】Codex(国際食品規格委員会)(食品の基準値・平成22年制定)
    ・乳児用調製粉乳:1 mg/kg
    ・その他の食品及び飼料:2.5 mg/kg
  • 【海外】EU(25年2月制定)
    ・ペットフード(缶詰):2.5 mg/kg(12%水分換算)

参考資料:愛玩動物用飼料の成分規格の追加(平成26年3月3日・環境省・農水省)

参考資料:環境省自然環境局(ペットフード安全法>基準規格等)

 

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メラミンの耐容一日摂取量(TDI)

  • 【WHO】2009年
    ・メラミン単独0.2mg/kg 体重/日
    ・メラミンとシアヌル酸等複合影響を考慮した値:未設定(再評価が必要な為)
  • 【米国食品医薬品庁(FDA)】2008年
    ・メラミン単独0.63mg/kg 体重/日
    ・メラミンとシアヌル酸等複合影響を考慮した値:0.063mg/kg 体重/日

  • 【欧州食品安全機関(EFSA)】2008年
    ・メラミン単独:0.5mg/kg 体重/日
    ※EUでは中国産の牛乳、乳製品、乳成分を含む乳児・子供向け特定栄養食品の輸入が禁止された(2008年)
  • 【カナダ保健省】2008年
    ・メラミン単独:0.2mg/kg 体重/日

参考資料:メラミン等による健康影響について(内閣府・食品安全委員会)

参考NOAEL(無毒性量)とTDI(耐容一日摂取量)