『食べさせてはいけない!―ペットフードの恐ろしい話』に学ぶキャットフード の選び方

   2019/01/20


キャットフードを選ぶとき、何を基準にすればよいか。これは、飼い主さんにとって、悩ましい永遠のテーマですよね。

人間と同じように「どんなものを食べるか」によって、猫ちゃんの健康や寿命は大きく左右されます。

もし、「キャットフードが、大切な猫ちゃんの健康を害する可能性がある」としたら、どうすればよいのでしょうか。

今回はベストセラーとなった『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』を参考に「キャットフードの選び方」について考えてみたいと思います。

書籍『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』について

まず、書籍『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』がどのような本かを簡単にご説明します。

原著“Food Pets Die for: Shocking Facts About Pet Food”(ペットが死ぬ食べ物ーペットフードの衝撃的な事実)は、1997年に出版されベストセラーとなりました。さらに2003年に第2版、2008年に第3版と大幅な加筆がされています。

日本では2003年に『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』というタイトルで初版の訳書が出版されました。

2頭の犬が同じドッグフードを食べて異変をきたす

著者はカナダ在住の女性、アン・N・マーティンさんです。

マーティンさんは、ルーイー(セントバーナード)とチャーリー(ニューファンドランド)という2頭の大きな犬を飼っていました。

1990年1月、ある日の夕方。マーティンさんが買ったばかりのドッグフードを与えたところ、ルーイーとチャーリーが一晩中「嘔吐と水のがぶ飲み」を繰り返したのです。

手作りの食餌で回復

翌日、マーティンさんがかかりつけの獣医に相談すると、手作りの食餌(牛肉か鶏肉をすりつぶしたもの、玄米、すりつぶしたニンジン)を与えるようにすすめられました。

獣医のアドバイスのとおりに手作りの食餌を与えると、ルーイーとチャーリーは2日ほどで回復しました。しかし、ふたたびそのドッグフードに戻すと、必ず嘔吐と水のがぶ飲みを繰り返すのです。

マーティンさんは「嘔吐の原因はドッグフードにある」と確信します。

ペットフード会社、州農務局に問い合わせても解決に至らず

マーティンさんは、獣医から来た請求額110ドルはペットフード会社が当然支払うべきだと考え、その企業にコンタクトをとりました。

ところが、ペットフード会社から治療費が支払われることはなく、ドッグフードの成分がきちんと調べられることもありませんでした。

マーティンさんはオンタリオ州農務食品局の家畜衛生研究所へも成分の調査を依頼しましたが、人手不足などを理由に数ヶ月経っても検査が行われることはありませんでした。

民間の調査機関へ成分分析を依頼

1990年、夏。マーティンさんは問題のペットフードの成分分析を民間の研究所へ依頼しました。そして、その報告書をかかりつけの獣医の検査結果とあわせて各地の大学の獣医学部へ送り意見を求めることにしたのです。

その結果、「亜鉛の量が中毒をおこすレベルに達している」ということが明らかになります。

マーティンさんは、ペットフード会社に対して何度も問題の解決を求めましたが、その会社は複数の弁護士を雇い、マーティンさんの要請には応じませんでした。

また、依頼から1年近く経って届いた農務局の成分分析の結果は、民間の研究所のものとは全く異なる内容で、信頼できるものではなかったのです。

ペットフード裁判

1991年6月、マーティンさんは、北アメリカで最大手のペットフード会社に対して訴訟を起こします。

1993年4月、6回の審理を経て、カナダの裁判所から受け取った「判決理由」は、マーティンさんの敗訴でした。

しかし、マーティンさんは「ペットフード会社が自分たちに責任がないという態度をとったおかげで、ペットフード業界の規制の欠如ペットフードに粗悪な材料が使用されていることなど、ペットフード業界のさまざまな問題について調査することになったので、裁判を起こす価値はあった。」と述べています。

『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』から学べること

このように、『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』は、家族として大切にしている犬が「市販のペットフードを食べて具合を悪くする」という事件が起こり、飼い主であるマーティンさんの「ペットフードに何が含まれているか、真実が知りたい」という思いから生まれた本です。

マーティンさんに起こったできごとは、1990年当時のことですが、その後、過去最悪と言われている世界規模でのペットフード事故が起きています。

この事故でたくさんの犬や猫が命を落とすことになりました。(2007年に発生した中国製小麦たんぱくのメラミン汚染。ペットフードの原材料として輸出・使用された為、被害が世界各地に及んだ。)

また、リコールは毎年のように報告されています。(原産国が米国の場合、FDAのHP(FDA=U.S. Food and Drug Administration=アメリカ食品医薬品局)に掲載)

粗悪な原材料(人間の食べ物としてはとても食べられないもの)の使用、病原菌の汚染、防腐剤など添加物の配合ミスなど、これらは今も起きている問題です

では、これらの問題を回避するにはどうしたらよいのでしょうか。

そのヒントがこの本に書かれているので、順番にみていきましょう。

『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』に学ぶペットフードの選び方

全米人道協会・生命倫理および飼育動物保護インターナショナル副会長であるマイケル・W・フォックス氏は、次の2点を「今日からはじめましょう。」と述べて「推薦のことば」を締めくくっています。

  1. まず表示を読む
  2. 獣肉や鶏肉の副産物、骨粉、獣脂などの「ミートミール(肉粉)」が含まれているペットフードは購入しない。

表示をよく読む必要があるのは、「そのフードにどんな材料が使用されているか知るため」なので、ほとんどの方が賛同されると思います。

でも、副産物、骨粉、獣脂などを使用した「ミートミールを使用しているフードを購入しない」という点については異論がある方もいらっしゃるでしょう。

副産物とは
牛、豚、鶏などの家畜動物の「肉(正肉)」を除いた部分です。 骨、臓器、タン、テール、横隔膜、頭、足、脂、血液などの肉(生肉)以外のあらゆる部分を含みます。

副産物の一部である「副生物」とは、主に内臓肉などを指しますが、日本では焼肉のハラミやモツ煮込みのモツなどで親しまれています。

では、なぜ、副産物を使用したペットフードは避けるべきなのでしょうか。

その理由を理解するためには、

  • 牛海綿状脳症(BSE)や、大規模な死亡事故が起きるまでペットフードに対して法的な整備が不十分であったこと
  • ペットフードに使用されている「ミートミール(肉粉)」「ミートボーンミール(肉骨粉)」がどのように作られているか

以上のことを知る必要があります。

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アメリカ・カナダのペットフード事情(1997年調査時)

マーティンさんは『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』の執筆のために綿密な調査を行いました。

その結果、明るみになったアメリカ・カナダのペットフードの問題点を確認しておきましょう。

ペットフードの原材料として使用されていたもの

マーティンさんが調査を行った結果、ペットフードの原材料として、次のものが使われている場合があることがわかります。

  • 安楽死(殺処分)させられたペット
  • 農場で死んだ動物
  • 路上で轢死した動物
  • 動物園で死んだ動物
  • スーパーの棚から回収された腐った肉
  • レストランから出る油や生ゴミ

このような材料で作られる肉骨粉「4Dミート」とよばれています。

4Dミートとは、

  1. Dead(死んだ)
  2. Diseased(病気の)
  3. Dying(死にかけの)
  4. Disabled(障害のある)

この4つの頭文字がすべて「D」なので、「4D」といわれているのです。

これらは、回収業者によって「レンダリング工場」へ運ばれます。レンダリング工場とは、さまざまな動物を原材料として、肉骨粉や動物性油脂を製造するところです。

アメリカやカナダでは、安楽死させられた動物をレンダリング処理し、ペットフードに使用していても「違法」ではありません。

その当時からアメリカには、合格すると「アメリカ農務省の継続審査に基づく品」という表示をつけることができる品質検査があり、「イヌ・ネコの死骸をペットフードの原料として使用しない」ことが規則で定められていました。

これは、アメリカでは「ペットフードにイヌ・ネコの死骸が使われている場合があり、法的に禁止されていない」ことを示唆しているのです。

しかし、この品質検査は、任意のものです。

マーティンさんがアメリカ農務省(USDA)に問い合わせたところ、「過去に2つの小規模な工場がこの検査を受けて表示許可を得たことがあるが、どちらの工場も4年間継続審査を受けていない」という回答でした。

また、レンダリング処理の問題点として、次のようなことも指摘されています。

のちにアメリカとカナダの両国で調査したところ、ペットにつけられている首輪や認識票、ノミ駆除用首輪、そして梱包用のプラスティック製の袋までもがレンダリング工場に送られる前にはずされていないことを知りました。

  • 『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』p.37

では、プラスチックの混入しているペットフードを食べ続けたらどうなるでしょうか。

最近、ニュースでもとりあげられた「プラスチック片による海洋汚染」の問題では、海の生物がプラスチック片を誤飲・誤食することによりさまざまな障害を引き起こしていることが調査の結果明らかになりました。

  • 海洋生物がプラスチックを摂食すると、有害化学物質が消化液に溶け出し、生体に取り込まれ蓄積する
  • 魚に有害化学物質を含むプラスチックを食べさせると、肝機能障害や腫瘍が発生する

ペットの安楽死に使用される薬品「ペントバルビタールナトリウム」はペットフードに残留する

安楽死させられた動物をペットフードの原材料として使用することは、他にもまだ問題があります。

ペットの安楽死に使用される薬品に「ペントバルビタールナトリウム」というものがあります。

ペントバルビタールの欠点は、次のとおりです。

死体の中に薬物が残留するため,その死体を摂食した動物にも鎮静を生ずる,或いは死に至ることがある。

また、マーティンさんの調査によると、

ペントバルビタールナトリウムは、レンダリング処理のあとも分解せずに残る

といわれています。

レンダリング処理とは、約130℃以上の高温で熱処理を行いますが、それでも分解されないのです。

ペットフードと狂牛病

狂牛病(BSE:牛海綿状脳症)とは、歩行困難、起立不能などの運動障害があらわれ、やがて死に至る伝染病です。

感染した牛の脳を顕微鏡でみると、細かい穴がたくさんあいていてスポンジに似ているため、「牛海綿脳症」(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy :)と名付けられました。

英国では、1980年代に確認され、1992年までに3万7000頭の牛がBSEに感染したといわれています。

その後、2000年頃には、英国以外の欧州、米国、日本など世界各地でも発症が確認されるようになりました。

BSEは「伝達性海綿状脳症」(TSE:transmissible spongiform encephalopathy)のひとつで、牛以外では、水牛、鹿、めん羊、山羊などの「反芻動物」が家畜伝染病の対象家畜となっています。

しかし、感染の範囲は反芻動物だけではありません。海綿脳症を発症した動物の「異常プリオンたんぱく質」を摂取すると、反芻動物以外の動物(例:ネコやミンク)や人間にも感染してしまうのです。

異常プリオンたんぱく質は「特定危険部位」といわれる部分に蓄積されます。

特定危険部位とは、次の部分を指します。

  • 牛の頭部(ただし、ほほ肉及び舌は除く)
  • せき髄
  • 回腸遠位部(盲腸との接合部から2メートル程度)

現在はBSEが世界的に広がったことにより規制されているので、特定危険部位は食用だけでなく、飼料やペットフードへの使用も禁止されています

日本でのBSE対策の見直し

平成25年に、BSE対策の法律が改正され、今まで特定危険部位として使用が禁止されていた「牛の頭部・せき髄・せき柱(30月齢未満のみ)」が食用・非食用問わず使用可能となりました。

BSE検査も、平成25年7月から、48ヶ月齢超のみとなりました。

BSEは、発症が「一般的に、高月齢で発症する」という特徴がありますが、科学的な根拠があるわけではなく「あくまでも、これまでの事例は、30ヶ月未満の症例がとても少ない」ということが基準となっています。

ネコの海綿状脳症(猫の狂牛病)

狂牛病のネコ版である猫海綿状脳症(FSE:Feline spongiform encephalopathy)は、ペットフードが感染経路といわれています。

マーティンさんは、著書で英国で発生した猫海綿状脳症について、次のように書いています。

  • 1990年 マックスという名のシャムネコが海綿状脳症で死亡。
  • 1997年 100頭以上のネコが猫海綿状脳症(FSE)で死亡。

マーティンさんは、ネコの海綿状脳症について、次のようにのべています。

イギリスではスクレイピーに感染したヒツジがレンダリング処理されていましたし、こうしてできた原料はウシの飼料になり、またペットフード用に加工されていました。

レンダリング処理の温度ではプリオンは根絶できません。これが、一九九〇年にさかのぼるマックスというネコの死について疑われる道筋です。

  • 『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』p.56

このように、1990年代当時のイギリスでは、病気で死んだ動物を肉骨粉にして、あらゆる動物に食べさせた結果、たくさん動物が海綿状脳症に感染しました。これが、動物園のさまざまな動物、家庭で飼われるペットたちにまで影響が及んだ要因です。

では、安心して猫ちゃんに与えられるキャットフードとは、どのようなフードなのでしょうか?

AAFCOの基準

キャットフードのパッケージに、このような表記が書いてあるのを見たことがありませんか?

  • AAFCO栄養基準に基づく
  • AAFCOの栄養基準をクリアしています

AAFCOとは、米国飼料検査官協会「The Association of American Feed Control Officials」の略称で、ペットフードの栄養基準、ラベル表示などの基準を定めている団体です。

AAFCOは、あくまでも基準を提示する立場であり、フードの検査を行ったり、認定や承認は行っていません。

では、AAFCOの基準を満たしていれば、安心なのでしょうか。

答えは、ノーです。

マーティンさんは、AAFCOの成分リストを見て次のように言っています。

「このような原料がペットフードに使えるなんて本当に信じられず、AAFCOに確かめようとFAXを送りました。」

『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』(p.85)

AAFCOが使用を許可している原材料として、マーティンさんがあげたものは、次のとおりです。

  • 加水分解された毛(フェザーミール)
  • スプレードライした動物の血液(血粉)
  • 乾燥食物廃物(食物供給源・食物加工施設から集められた動物・野菜製品)
  • 乾燥廃物(腐敗が始まる前に集められた動物や野菜の廃物)
  • 乾燥第一胃製品(食肉処理されたウシの第一胃の内容物を乾燥させたもの)
  • 乾燥家禽廃物(人工的に脱水した反芻動物の排泄物)
  • 乾燥ブタ廃物(人為的に脱水したブタの排泄物)
  • 非乾燥処理動物廃物製品(家畜・反芻動物・人間以外のあらゆる動物の排泄物。木や木くず、寝藁、泥、砂、岩なども30%未満であれば含んでよい)

この成分リストをみて、マーティンさんは、「飼料と同じくペットフードにも適用されるのか?」と問い合わせたところ、AAFCOの回答は「特定の種に限定するという表記がないかぎり、ペットフードを含めあらゆる動物の飼料に適用される」とのことでした。

これらは、「AAFCOの栄養基準を満たしている」ペットフードには使用されている可能性があるのです。

「AAFCOの栄養基準」については、別の機会に改めて詳しくお伝えしたいと考えていますが、品質については「AAFCOに栄養基準」を満たしている=安心とは言えないですね。

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まとめ

今回は、アン・N・マーティン著『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』を参考に、キャットフードの選び方について考えてみました。

BSE対策の法律改正や、AAFCOの基準に共通することは、健康よりも、人間の都合(廃棄物処理の利便性やコスト削減)が優先されているということです。

そして、「肉骨粉」「肉粉」「動物性油脂」に何が使われているかは、あらゆる動物性原料をいっしょくたにする「レンダリング」という工程からできている以上、厳密にはわかりません。

以上のことから、

  • 「肉骨粉(ミートボーンミール)」「肉粉(ミートミール)」「動物性油脂」の記載があるものは購入しない

これは、安心して購入できるキャットフードの指標のひとつと考えられます。

猫ちゃんの健康を考えてキャットフードを選ぶなら、その他の原材料についても吟味が必要です。

では、具体的にどんなフードを選べばよいのでしょうか。

その答えは『食べさせてはいけない!ペットフードの恐ろしい話』の続編(原書のみ)で、アン・マーティンさんおすすめのペットフードが紹介されています。

詳細はまた別の記事でご紹介したいと思います!

ネコチップスは、今後も、猫ちゃんと飼い主さんの健康と幸せのために、記事をお届けしてまいります!

それでは、また!

著者:ねこちき

にゃたは、アメリカン・カールの男の子です。 にゃたとの暮らしで気づいたことをお伝えしています。 最近、さびねこの「ツナちゃん」という新しい家族が増えました。

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